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【フランクルのロゴセラピーとは】生きる意味を回復する実存分析入門

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本記事の想定読者は「医療従事者」としています。とくに精神科領域の専門用語等を使用して解説していきますが、一般の読者さんにもわかるように構成されています。

また、本記事の内容はフランクル心理学「ロゴセラピー」の概論となっています。

 

ロゴセラピーとは何か

ロゴ」とはギリシャ語で「意味」を表します。

 

ロゴセラピーとは、対象者の「人生の意味」を見出すことをサポートし、精神の問題を解決する心理療法のひとつです。

意味中心療法、実存分析などと呼ばれることもありますが、同じ意味を指します。

 

オーストリアの精神科医であるヴィクトール・エミール・フランクルが始めた心理療法です。

フランクルがロゴセラピーを創始した背景には、フロイトの精神分析やアドラーの個人心理学の理論があり、両者の欠点を補うような理論を展開しています。

よって、ウィーン3大学派とも言われることもあります。

 

また、フランクルのロゴセラピー(実存分析)は人は自らの人生に意味を求めるという特性があると認めており、一般的にマズローやロジャーズを代表とする「人間性心理学」の領域に分類されます。

 

ロゴセラピーの目的と優位性

ロゴセラピーでは、人は人間存在や生命の意味を追い求める性質があり、その意味が満たされないときにメンタルの不調や疾患に関わるとしています。

つまり、「人生の意味が分からない」「人生が無意味に思える」「やりたいことがない」などの思考を取り扱います。

こういった虚無感(実存的空虚)が様々な神経症、依存症の原因になっていることが多くあり、ロゴセラピーによって4割ほどの患者が完治したとの報告があります。

(ほかの心理療法よりも再発率が低く成績がいいと言えます。)

 

ロゴセラピーの対象

病院やクリニックに入院、通院している神経症、依存症の患者はもちろん、人生の意味や虚無感に苦悩する若者にも適用されるとしており、フランクル自信も人間性を求めるすべての人に応用ができると述べています。

 

次章では、ロゴセラピーのキーワードについて解説していきます。

 

ロゴセラピーの基本概念

 

ロゴセラピーでは、人が生きる意味はおよそ3つに大別されるとしています。

以下、3つの価値にまとめられています。

 

創造価値

何かをしたり、創ることの中に意味を見出すということです。
例えば人に喜んでもらえる商品やサービスを提供しようとすることは、この創造価値を満たします。人は生産することに意味を感じます。
物を買って豊かになろうという気持ちも、「人生を快適に創造すること」に含まれます。

 

アドラーの個人心理学で言われるところの「力への意志」がこの創造価値に該当します。

 

体験価値

何かを体験することの中に意味を見出すということです。
誰かを愛するというのは体験価値を満たします。家族団らんで楽しい時を過ごしたり、どこかに遊びに行くというのも体験価値です。
そして、体験によって得られる価値は、創造することよりも大きな価値を感じます。

 

フロイトの精神分析で言われるところの「快楽への意志」がこの体験価値に該当します。

 

態度価値

これは、ある状況に対してどう対応するかによって決まる価値です。

態度によって生まれる価値は、場合によってはどうすることもできない絶望的な状況にも意味を見出すことができます。

重要なことは、死や別れなどの人が避けることも変えることもできない運命に直面したときに取る心構えと態度なのだとフランクルは言います。

それによって「苦しみ」さえも一つの業績に転換することができるという特徴があります。

また態度価値は創造することや、体験することよりも価値が高いということが分かっています。

 

フランクルのロゴセラピー(実存分析)における「意味への意志」がこの態度価値に該当します。

 

ロゴセラピーでは、前述した価値観をもとに、対象者が生きる意味を特定できるように働きかけます。

 

ロゴセラピーの実存主義的アプローチ

ロゴセラピーの基本理念は以下のような人間学的な要素によって支えられています。

 

意志の自由

どんな状況にあっても、人は自分の意志で選ぶこと、態度を決める自由を持っています。これは、運命論を否定するものと言えます。

 

人生が各人に課する使命を果たすこと、日々の務めを行うことに対する責任を担うことは、意志の自由に他ならないのである。

V・E・フランクル

 

意味への意志

人は自らの「生きる意味」は何か?という根源的な疑問を持っており、究極的には自己超越に向かう過程で自己実現していきます。

 

フランクルはかつて、アウシュヴィッツを始めとした、ナチスの強制収容所での惨状を経験し、生き残ったうちの一人です。

そこでは、およそ5%の生存率だったと言います。(つまり、20人のうち1人しか生き残れなかった)

 

フランクルは「未来の具体的な個人的な課題に向かって方向づけられている人たちこそ、生き延びる最大の可能性を持っている」と身を持って体験しました。

 

われわれが人生の意味を問うのではなく、われわれ自身が人生に問われているのである。われわれは、人生が投げかけてくる課題に対して正しい行為によって応答しなければならないのである。

V・E・フランクル

 

人生の意味

人それぞれ、人生に独自の意味を持っています。人生の意味について理解している人は、どんな困難にも耐えることができ、利他的な行動をいとわず、自分の強い信念に従って生きることができます。

 

なぜ生きるかを知っている者は、ほとんどあらゆる如何に生きるか、に耐えるのだ

フリードリヒ・ニーチェ

というニーチェの言葉がこれをよく表しています。

 

人生の意味は対象者自身が独自に決定するものであり、ロゴセラピストはそれを援助します。

 

こんな感じで、フランクルの心理学はなかなかに難解で消化しにくいので、続きは次回にしたいと思います。

今回お伝えした内容は、基礎の部分になるのでしっかり復習しておきましょう。

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ふじ

(元)経験年数4年のメンタル系作業療法士。パーソナルカウンセリング・コーチングの経験を経て独立。現在、自由人。「個人が自由に生きる」ことをテーマに、メンタルの整え方や心理系スキルについての発信をしています。

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