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【ACTノート術】迷いをなくし、人生を最大化する認知行動療法まとめ

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今回はACTの概論的な話になります。サクッと読みたい方は、目次を見てみて、読みたいところから進んでみてください。

 

ACTとは何か?

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT:Acceptance and Commitment Therapy)とは、認知行動療法の一つです。(ACTはリレーショナル・フレーム理論に基づいているので行動療法の色が強い傾向です。)

 

●語句の意味

アクセプタンス
「受容」

コミットメント
「目標を共有して、それに向かって実行すること」

セラピー
「治療」「療法」

 

直訳すると上記のような表現になるのですが、これでは分かりづらいということで、以下のような捉え方があります。

 

【Accept Choose Take acction】

「受け入れる」「 選ぶ」「実行する」

Forsyth & Eifert,2007

 

どちらかというと、本来のACTは「受容ー選択ー実行」というのが、より正しい意味です。(参考:What is ACT?.Jyuniti Sonoda.2010

 

これだけでは、よくわからないので、各単語の意味を解説します。

 

ACTにおける「accept」

「accept:受け入れる」

これは苦痛や不安から逃げないで、それをそのまま受け入れるということです。

 

苦しみとか恐怖を静めたり、消し去ろうとするのではなく、ただ「そこにあるもの」として自分を曝していくということなので、森田療法の「あるがまま」のようなニュアンスで理解してもらってOKです。

 

まとめると、「自分が感じたことについて良い悪いの判断をせず、事実として受け入れる」ということ。

 

ACTにおける「choose」

「choose:選ぶ」

これは、ただ単に好きなものを選べばいいのかというと、そうではありません。ACTでの「選ぶ」の意味は、自分にとって本当に価値のあるものを選ぶということです。

 

なので、今現在の気分や目先の欲求に振り回されてはいけないということになります。

 

ACTにおける「take action」

「take action:実行する」

「choose」の段階で自分が選んだものを実行に移すということです。言い換えれば、自分の重要な価値観に基づいて行動するということになりましょう。

 

と、このようにACTは実践することに焦点を当てた、アクティブな心理療法なのです。

 

また、ACTは認知行動療法(CBT)の一つとは言いながら、どこが決定的に違うのかというと・・・

 

ポイント

・一般的な認知行動療法(CBT)は「認知」「行動」を変えることを目的とする。

ACTは「認知」「行動」を変えるのではなく、そのまま受け入れることを目的とする。

 

マインドフルネスとか仏教に近い印象を受けますね。

 

ここが大事!

ACTの最終目標

心理的柔軟性を実現すること。簡単にいえば、「今この瞬間」を生きながら、有害な思考にとらわれず、信念に従った行動をできるようになることです。

 

ACTでは、心理的柔軟性を手に入れるために以下の6つの過程が用意されています。

 

ACTの6つの治療過程(コア・プロセス)

ACTでは、6つの治療過程が用意されているのですが、このプロセスは大きく分けて2つに分けられます。

 

ACTの2つの側面

1.アクセプタンス(以下①~④の項目)

2.コミットメント(以下⑤、⑥の項目)

 

以下に記載している①~④はアクセプタンスに関する内容で、⑤と⑥はコミットメントに関する内容になっていますので、区別してみていただけると、より分かりやすいと思います。

 

 

①アクセプタンス(オープンになる)

ネガティブな思考や感情をコントロールしようとすることや、体験を回避しようとせずにあるがままに受容することを促すことです。

 

ツラい感情は思わず振りほどきたくなったりしますが、ACTでは受け入れることがポイントになります。(ACTでは価値ある行動にエネルギーを向けるため、他のことにはあまり囚われません)①~④の項目はマインドフルネス関連の項目になります。

 

アクセプタンスの流れは以下のとおりです。

 

アクセプタンスのプロセス

  1. 観察する
    どこにあるのか探る。そして、感情を観察する。 「好奇心旺盛な科学者のように観察する」
  2. 息を吹き込む
    感情に息を吹き込む
  3. 広げる
    感情のまわりに空間を作る
  4. そのままにする
    そこに置いておく
  5. モノ化する
    感情を何かのモノに喩える
  6. 普通のことだと考える
    苦しい感情が生じるのは人間なら当たり前なこと
  7. 自分を慈しむ
    感情を手で包む
  8. 意識を広げる
    意識を広げることで、視野が広くなり、感情は全体のほんの一部の もので、自分をおびやかすほどのものでないという感覚になる。視野が狭いと感情 の割合(存在)が大きなものと感じ、自分をおびやかす大きな力を持ったものと感 じてしまう。

 

②脱フュージョン(思考を観察する)

脱フュージョンとは、現在進行形で起きている認知プロセスと認知の内容を切り離すことで思考によるとらわれを減らすこと。主に、メタファー(比喩)を使った手法があります。

 

この脱フュージョンを行うことで、思考のとらわれを弱めて、自分の感情や思考をあるがままに受け止めることができるようになります。

 

ヘイズ&スミスが提唱する脱フュージョン・エクササイズは34個あるのですが、本筋から離れてしまうので、3つだけ紹介するのにとどめておきます。

 

  • 不快な思考を持ち歩くエクササイズ
    カードに不快な思考の単語を記入して持ち歩き、不快なときに3分間ながめる。
  • 考えにラベルを貼るエクササイズ
    不快な思考に「私は~な考えがある」というラベルをつけ、不快な時に唱える。
  • マインドさんのエクササイズ
    自分の中の思考・感情・記憶を一人の人間として名前を付ける。不快な時にその人が自分に語りかけているところを想像する。

 

34の脱フュージョン・エクササイズ(Hayes&Smith:2005)
お茶エクササイズ、とてもゆっくり言う 、違う声で言う、歌にする、鍵を持ち歩く、カードを持ち歩く、 マインドTシャツ、 身につける、 開放へのコミットメント、考えや感情を記述する、評価できないものを探してみる、ポップアップ・マインド、ラジオ番組にする、流れに漂う葉っぱ、電話の呼び出し、ただ気づく、考えを「買う」、 考えにラベルを貼る、「でも」をやめる、どうして?どうして?、新しい物語をつくる、体験的な探求、逆のことを考える、考えは原因ではない、どのくらい続いていますか、考えないようにする、その考えは私にどのような影響を与えて来ただろう、マインドさん、マインドの鑑賞、人生は誰のもの?、そうなると,どうなるのですか?、そう,あなたは正しい,それがどうした?、どちらの私が良いですか?、バスに乗ったモンスター

参考:
(1)Yuki SHIGEMOTO Takashi MUTO:Examination of the mechanism of defusion exercises.2013
(2)Yuki SHIGEMOTO   Takashi MUTO:A review and discussion of analogue studies about defusion.2012

 

 

③「今この瞬間」との接触(今、ここに、いる)

人は四六時中、何かを考えたり、思ったりしています。(考える自分)これと別に「観察する自分」がいます。思考を観察し、自分が今、何を考えているかに気づいている・意識している・認識している部分です。「観察する自分」は、ただ観察する・ただ気づいているという意識が大事で考えることはしません。

この観察する自分と思考・感情の関係は、よく空と雲の関係で喩えられます。どんな黒い雲があっても空自体が汚れることなく、何の影響もないこと、そして黒い雲の上には青空が広がっていること。ただ気づいているという意識はまさに、青空のようなものであるということです。

 

観察する自分になるために瞑想を行っていきます。

 

手動瞑想

今、手がどこの位置にあってどうなっているのかを認識していく。手の動きを淡々と意識で追いかけていきます。

 

呼吸瞑想

呼吸の出入りに意識を向ける。今、呼吸がどうなっているかの認識。鼻先やお腹、胸 など、自分が意識しやすいところで意識する。鼻先の場合、鼻先を息がすーっと出ていっている、入ってきていると意識する。お腹や胸なら、お腹が膨らんでいる、縮まっていると意識する。 呼吸から意識が離れ、思考に巻き込まれてしまったら、そのことに気づいて呼吸に意識を戻す。思考に囚われてしまうことは当然なので、何度も、思考に囚われては、呼吸 に戻すということを行っていく。

 

ボディスキャン瞑想

頭から顔、首、肩と順番に下にスキャンするように意識を向けていきます。    頭のてっぺんに意識を向けましょう。どんな感覚があるでしょうか。(5秒ほど待 つ)。頭の下の方に降りていきます。額のあたりはどんな感覚がするでしょう。(5 秒ほど)。額からさらに、鼻、頬、口、顎へと降りていきます。(5秒ほど)。首か ら肩へと下がっていきます。どんな感覚がありますか(間)。胸からお腹、背中、 (間)。腕から肘、手の先。下腹部から腰と意識を向けていきます。どんな感じで すか、(間)。お尻からもも、膝、(間)。膝からふくらはぎ、すね、さらに、足首、 足の甲、足の裏へとスキャンしていきます。

 

Carol Vivyanによる感情のマインドフルネス

これは強いネガティブな感情を和らげることができるマインドフルネステクニックです。受け入れとあなたの価値観に向けた前向きな行動にあなたの焦点を更新するための手順に従ってください。

  1. 静かな場所に座ってください。あなたの呼吸を操作しようとせずに呼吸の感覚を感じながら、あなたの呼吸に注意を向けてください。
  2. あなたが感じている感情、そしてそれがどのように感じているかに注意してください。
  3. 感情に名前を付けます。それが何であるか、そしてどの単語があなたがどのように感じているかを最もよく表しているかを識別してください。
  4. 状況に対する自然で通常の反応として感情を受け入れる。容認したり判断したりしないでください。
  5. 次のような質問をして感情を調べてください。私はこの感情をどれほど強く感じていますか。私の呼吸は変わりましたか?私の体に付随する感覚は何ですか?私の姿勢はどうですか?筋肉の緊張が高まっていますか?現時点での私の顔の表情は何ですか?私の顔はどう感じますか?
  6. 生じる思考や判断に注意してください、しかしそれらを通過させてください。もしあなたがそれらのうちのどれかに住みついているのを見つけたならば、再び心に集中するためにあなたの呼吸に注意を向け直して、そして再び感情を訪ねてください。このテクニックは、小さいサイズから始めて、より強い感情に向かって動くときに最良の結果を生み出す可能性があります。

    参考:How Does Acceptance And Commitment Therapy (ACT) Work?

 

 

④文脈としての自己(純粋なる気づき)

この3つ目のプロセスは、何となく分かりづらいのですが、簡単に言うと自分を「観察する自己」として捉えるということです。

 

どういうことかというと、自分に起こっている出来事を自分ごととして主観的に見るのではありません。自分を「第三者視点から見たとしたらどう見えるか」と考えます。

 

たとえば、あなたが職場の上司にこっぴどく叱られたとしましょう。するとあなたは「怒られた自分が悪いんだ、改善しなければ」と思うかもしれません。でも、これが仮に他の人(Aさん)が叱られているのを近くで見ているだけだったとしたらどうなるでしょう?

 

怒られて落ち込んでいるAさんに対してどんな言葉をかけますか?

 

おそらく、あなたは「君が悪いんだ、改善しなきゃいけないよ」とは言わないと思います。代わりに「あの上司もあんなに大きな声で言う必要はないし、ただの八つ当たりだよね」というふうに優しい言葉をかけてあげるのではないでしょうか?

 

第三者視点なら、こんなふうに柔軟な対応ができるのです。自分を客観的に観察できることが、純粋なる気づきに触れるコツです。(参考:Self as Context Audio Files

 

文脈としての自己を理解するには、

「I」視点から「You」視点に変換する。

 

⑤価値(何が大切か知る)

自分の価値観がよく分からないという人は、けっこう多いです。価値観が曖昧だと、自分にとって重要じゃないことに振り回されてしまいますよね。価値を明確化することで、問題を解消しようとするのではなく、いかに生きるかということに考え方をシフトしていきます。

 

価値観については以前にヴィクトール・フランクル(「夜と霧」で有名)の価値観の捉え方を紹介しました。興味があれば、こちらをご覧ください。

【うつ 不安 神経症】虚無感を改善するために必要な人生の意味

 

中心的価値観(コア・バリュー)を同定するにあたってはフランクルの心理学ロゴ・セラピーが参考になります。

 

以下、15のコアバリューの例を記載しておきますので、自分の価値観にに近いものをいくつか選んで、ランキングづけしておきましょう。

価値観の種類

【クリエイティブ価値】
・やりがいをもって働くこと
・新しいものを作ること

【経験的価値】
・自然や芸術などから美しさを経験すること
・愛を感じること

【態度的価値】
・病気や死、喪失のような避けられない出来事に対する態度
・道徳観を重んずること

【関係性価値】
・恋人、配偶者などのロマンチックなパートナーシップ
・親、子どもなどの家族関係
・友情

【達成価値】
・キャリアを積むこと
・個人的に成長していくこと

【レクリエーション価値】
・余暇、趣味を充実させること
・チャリティー、ボランティアに参加すること

【健康価値】
・身体的健康
・精神的健康

引用:Frankle,1963;Vyskocilova et al.より

 

 

⑥コミットされた行為(必要なことを行う)

先ほど、明確化した価値観に沿った行動をするということになります。もう分かりきったことですが、価値観に沿わない行動をすると、罪悪感を感じたり、人生が無意味に思えてくるというような事態が起こります。

 

なので、価値観に沿った行動をする必要があるのですが、ACTの第一人者であるラス・ハリス(「幸福になりたいなら幸福になろうをしてはいけない」で有名)は4つのステップがあると明言しています。

 

価値観に沿った行動をするための4つのステップ

・自分にとって最も重要度の高い価値観を選ぶ

・その価値分野でどのような価値を追求したいか明確にする

・その価値観によって導かれる目標を立てる

・価値観に沿わないことはしない

Harris(2009)

 

価値観に沿って、自分で選択した行動をすることが大事です。

 

 

価値観についてまじめに考えてみたいという方はこちらの記事を参考になされてください。

 

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ふじ

(元)経験年数4年のメンタル系作業療法士。パーソナルカウンセリング・コーチングの経験を経て独立。現在、自由人。「個人が自由に生きる」ことをテーマに、メンタルの整え方や心理系スキルについての発信をしています。

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